【禁断の魔術】なぜ「Amazon」は、たったひとつの「飴玉」に負けたのか? 論理を破壊する"感情"の正体

【禁断の魔術】なぜ「Amazon」は、たったひとつの「飴玉」に負けたのか? 論理を破壊する"感情"の正体

 

どうも!

「効率化こそ正義」と信じて妻へのクリスマスプレゼントを「Amazonギフト券(メール送信)」で済ませた結果、
家庭内の空気密度が限りなく真空に近づき、呼吸困難に陥っている効率脳アドバイザーSHOです。
#窒息死寸前

 

さて。

今日は、
『機能や価格で勝負しているうちは二流。一流は"感情"という名の飴玉を配る』
という、ビジネスマンが一番見落としている「不都合な真実」についてお話しします。

本題に入る前にコチラの共有です。

 

 

そんなこんなで本題です。

 

Amazonに勝った「飴玉」

皆さんは、「スウィートウォーター・サウンド(Sweetwater Sound)」という会社をご存じでしょうか?

アメリカにある楽器や音響機器のオンライン小売業者です。
売上は8億ドル(約1000億円以上)を超えるモンスター企業です。

 

でも、ちょっと待ってください。

楽器や機材なんて、今はAmazonでもどこでも買えますよね?
しかも、価格競争になればAmazonのような巨人に勝てるわけがない。

普通に考えれば、淘汰されて終わりの運命です。
実際に、競合の大手チェーン(ギターセンター)は破産法を申請しました。

 

しかし、スウィートウォーターだけは爆発的に成長し続けています。

なぜか?

彼らがやったことは、たった一つ。
「箱の中に、飴玉を入れた」
これだけです。

 

ふざけているわけではありません。

大真面目な戦略です。

顧客が注文したマイクやギターが届く。
箱を開けると、そこには注文した商品と一緒に、少量のキャンディが入っている。

たった数セントの駄菓子です。
機能的にはゴミに近い。

でも、これが客の脳に強烈な「感情のバグ」を引き起こすんです。

 

高額な買い物をした時の「罪悪感(散財してしまった…)」という痛みを、
予期せぬ「飴玉のサプライズ(喜び)」が上書きしてしまう。

客は「Amazonの方が安いかもしれない」と頭では分かっていても、
「でも、飴玉が入っているあの店で買いたい!」と感情で選んでしまうのです。

これが「感情面の摩擦」を消すということです。

 

 

便利すぎて失敗したケーキ

「感情」がどれほど論理を凌駕するか、もう一つ有名な事例を紹介しましょう。
「ホットケーキミックスのパラドックス」です。

 

1950年代、食品メーカーのジェネラル・ミルズ社は、
「水を入れて混ぜて焼くだけ」という完璧なケーキミックスを開発しました。

味はプロ級。手間はゼロ。

主婦にとって夢のような商品です。
メーカーは「これは絶対に売れる!」と確信していました。

 

しかし、結果はどうだったか?

全く売れませんでした

 

なぜ? 味? 価格?
違います。
理由は「簡単すぎたから」です。

 

当時の主婦たちは、
「水を混ぜるだけでケーキができるなんて、私は家族に対して手抜きをしているんじゃないか?」
という「罪悪感(感情の抵抗)」を感じてしまったのです。

機能的(Functional)には100点満点でも、
感情的(Emotional)には0点だったわけです。

 

そこでメーカーはどうしたか?
なんと、「あえて不便にした」のです。

ミックス粉から乾燥卵を取り除き、
「卵を割り入れ、牛乳を加えて混ぜてください」というレシピに変更しました。

 

手間は増えました。

論理的には「改悪」です。

しかし、これによって主婦たちは
「私が卵を割って、私がこのケーキを作った!」
という達成感(感情)を得られるようになりました。

結果、このケーキミックスは爆発的ヒット商品になったのです。

 

 

目の前のゴリラが見えていますか?

僕たちはビジネスや説得をする時、
ついつい「機能(スペック)」や「メリット(燃料)」ばかりを語ってしまいます。

「このツールはこんなに便利です!」
「このプランはお得です!」

でも、相手が見ているのはそこじゃない。

 

ある有名な実験があります。

放射線科医のグループに、肺のCTスキャン画像を見せて「異常を探してください」と依頼しました。

実はその画像の隅っこに、
「マッチ箱サイズのゴリラの絵」が合成されていたんです。

 

プロの医者ですよ?
あんなに訓練された彼らが、ゴリラを見逃すはずがない。

しかし結果は、
83%の医者がゴリラに気づきませんでした

 

なぜか?
彼らは「がん(機能的な問題)」を探すことに集中しすぎて、
「ゴリラ(予期せぬ異物)」を見る回路がシャットダウンしていたからです。

 

これ、僕たちの日常でも起きています。

・部下が動かないのは、給料(機能)が低いからじゃない。
「失敗して恥をかきたくない(感情)」というゴリラがいるからかもしれない。

・DV被害者がシェルターに逃げないのは、安全(機能)が嫌だからじゃない。
「愛犬を置いていけない(感情)」というゴリラがいるからかもしれない。

 

 

論理で殴るな、感情を撫でろ

結論です。

人を動かしたければ、
「正しいこと(論理)」を積み上げるのをやめてください。

それはAmazonに価格競争を挑むようなものです。

 

やるべきは、
相手の心の中にある「見えないゴリラ(感情の抵抗)」を見つけ出し、
それに飴玉を与えることです。

 

YouTubeメンバーシップ限定記事では、
この「感情」をさらに深掘りして、
「相手の『建前』を剥がし、『本音(Why)』を裸にする最強の交渉術」
を解説します。

 

・なぜ、イスラエルとエジプトの歴史的和解は「オレンジの皮」の発想で成功したのか?

・「借金」という言葉を消し去り、若者を虜にしたアメックスの言い換えマジック

・相手の「欲しい」の奥にある「なぜ?」を突き止める具体的な質問テンプレート

 

明日から使える、人の心を操る(良い意味で)技術です。

 

▶ 有料記事『【閲覧注意】相手の脳をハックする「Why」の力。論理で説得できない相手を"一撃"で動かす交渉術』はこちら

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【追伸】
「機能よりも感情が大事。飴玉ひとつで愛は買える」
スウィートウォーターの成功法則を確信した僕は、妻の機嫌をとるために実践しました。

先日、妻に頼まれていた「お風呂掃除」を完全に忘れていました(機能的欠陥)。
このままでは雷が落ちます。
そこで僕は、掃除をしていない浴槽の真ん中に、
彼女の大好きな「高級プリン」を一つ、ポツンと置きました(感情的飴玉)。

僕の計算では、
「掃除はしてないけど…まあプリンがあるからいっか♡」となるはずです。

帰宅した妻は、浴槽のプリンを見て言いました。

「……これ、お供え物?」

どうやら僕は、
「感情の摩擦」を取り除くつもりが、
「夫の死」を願わせるほどの「殺意」を生み出してしまったようです。
#仏壇スタイル

 

それでは明日のブログでお会いしましょう!

『今日1日をモノにしよう!』

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

参考書籍

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