「すごいね！」は呪いの言葉？部下のやる気を奪う「褒め方」の罠【アドラー心理学】

あなたの「褒め言葉」本当に届いていますか？

「部下を育てるなら、褒めなきゃ始まらない！」

多くのビジネス書にそう書かれているし、誰もが信じている常識ですよね。

だからあなたも一生懸命、部下の良いところを探しては「すごいね！」「さすがだ！」と声をかけているはず。

でも…、なぜか部下の反応はイマイチ。

褒めた瞬間は嬉しそうにするけど、すぐに指示待ちに戻ってしまう。

むしろ、「次も成功しなきゃ」というプレッシャーで顔がこわばっている気さえする…。

「こんなに褒めてるのに、なんで響かないんだ…！」

なんて、"褒め疲れ"していませんか？

もし、その良かれと思ってやっている「褒める」という行為そのものが、部下の成長を止め、挑戦する勇気を奪っているとしたら…？

今回は、あなたの脳にこびりついた「常識」をひっくり返す、アドラー心理学からの衝撃的なメッセージをお届けします。

衝撃の事実！アドラー心理学では「褒めるな」が鉄則

いきなり結論から言います。

「勇気の心理学」とも呼ばれるアドラー心理学では、「賞賛（褒めること）は原則NG」とされています。

「え、なんで！？褒めないと人は育たないでしょ！？」

そう思いますよね。

脳がバグを起こしそうになる気持ち、よくわかります。

アドラーが「褒めるな」と言うのには、非常に深く、そして重要な理由があるんです。

それは、褒めるという行為が無意識のうちに相手との間に「縦の関係（上下関係）」を築いてしまうから、なんです。

考えてみてください。

「すごいね！」「えらい！」という言葉は、「能力のある人」が「能力のない人」に向かって下す「評価」ですよね。

あなたが部下を褒めた瞬間、あなたは無意識に「評価する側（上）」、部下は「評価される側（下）」というポジションに立ってしまっているのです。

さらに怖いのは、「褒められること」が麻薬のようになってしまうこと。

褒められる快感を求め、常に上司の顔色をうかがう「褒められ待ち人間」が生まれてしまう。

これでは上司（評価者）がいない場所では自ら考えて動くことができなくなってしまいます。

救世主あらわる！「勇気づけ」という新しい光

「じゃあ、褒めちゃダメなら、どうすればいいんだよ！」

そんな声が聞こえてきそうですね。

大丈夫、ちゃんと希望の光はあります。

賞賛という「麻薬」の代わりに、アドラー心理学が処方するのが「勇気づけ」という名の万能薬です。

勇気づけとは、先ほどの「縦の関係」とは真逆。

お互いを対等なパートナーとして尊重する「横の関係」から生まれるコミュニケーションです。

その目的は、評価することではなく「相手が困難を克服するための活力を与えること」。

例えるなら、部下という名の車に高級ガソリン（賞賛）を一時的に入れてあげるのではなく、車自身がエネルギーを生み出すエンジン（勇気）の作り方を教えてあげるようなもの。

この「勇気づけ」こそが部下の自律性を育て、どんな困難にも立ち向かえる強いチームを作るための唯一にして最強のスキルなのです。

徹底比較！「賞賛」と「勇気づけ」、あなたのはどっち？

「賞賛」と「勇気づけ」。

似ているようで実は水と油ほど違います。

あなたが普段使っている言葉や態度はどちらに近いかチェックしてみましょう。

● 関係性：支配者 vs 仲間
賞賛：「私が上、君が下」という無言のメッセージ。関係は「支配と依存」。
勇気づけ：「君も俺も、同じ目標に向かう対等なパートナーだ」というメッセージ。関係は「協力と信頼」。

● 焦点：結果 vs プロセスと貢献
賞賛：「100点を取ったから、すごい」という結果主義。100点を取れない自分には価値がない、という恐怖心を生む。
勇気づけ：「目標に向かって、最後まで粘り強く取り組んでいたね」というプロセスや、「君が手伝ってくれたおかげで、本当に助かったよ、ありがとう」という貢献に注目する。

● 目的：操作 vs 自立支援
賞賛：「褒めて、自分の思い通りに動かしたい」という無意識の操作。
勇気づけ：「君が自分の力で人生の課題を乗り越えていけるようになってほしい」という心からの自立支援。

● 言葉：Youメッセージ vs Iメッセージ
賞賛：「"あなた"は、すごいね」という評価の言葉。
勇気づけ：「"わたし"は、嬉しいよ、助かったよ」という共感や感謝の言葉。

こうして見ると、まったく別物だということがわかりますよね。

あなたが目指すべきは部下を評価する鑑定士ではなく、部下の冒険を応援する仲間なのです。

それでは、今日もこの言葉で締めさせていただきます。

『今日1日をモノにしよう！』

最後まで読んでいただき、ありがとうございました！